注意!  
ブラック・ナルシッサとドラコ、ハリーの死にネタが含まれます。
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 ヴォルデモートが控える部屋を前に、二人は対峙していた。
「・・・・・・ドラコ!」
 ハリーは杖を構えた。
 水色の瞳へ。
 恋人の喉元へ。
「ドラコ、還るんだ。僕と一緒に、ホグワーツへ。」
「何を今更・・・・・・」
 ハリーをまっすぐに睨み付けながらドラコは答えた。
「僕の左腕に何があるか、お前は知っているのだろう。」
「消してみせる。僕が。」
 ドラコはじっとハリーを見つめた。ハリーも目をそらさずに見つめ返す。
 長い――そう思わせるだけの時間が流れた。
 不意に、ドラコの眦を透明の雫が濡らした。
「・・・・・・本当に・・・・・・?」
 掠れた声をドラコが発した。
「還ってもいいのか・・・・・・?」
「ドラコ・・・・・・」
 ハリーはぱぁっと表情を明るくし、構えていた杖を下ろしかけた。



「アバダ・ケタブラ」



 緑の閃光がまっすぐにドラコの胸を貫いた。

「・・・・・・ッ!?」

 ドラコ、と呼びかけたつもりが、声にならない。
 ハリーは咄嗟の出来事に呆然として、魂の抜け落ちた抜け殻を凝視することしかできなかっ
た。

「愚かな子。」

 背後から冷たい声がした。
 信じられなかった―――ドラコを殺したのは―――揺らぐ金髪、大理石のような肌、深い海
の色を湛えた瞳・・・・・・ウンディーネの如く美しい死神は、紛れもなく彼の母親、ナルシッサ・マ
ルフォイだった。
「何故・・・・・・。」
 床に臥したドラコを庇うようにしながら、ハリーが呟いた。
「何故、実の息子を・・・・・・!!」
「ダーク・ロードに刃向かう志を持つ者など、息子でもなんでもないわ。」
 たった今、息子を手にかけた凶器である杖をもてあそびながら、ナルシッサはこともなげに言
い切った。
「あなたはスネイプに、ドラコを守ると誓わせた・・・・・スネイプはそのために・・・・・・ダンブルドア
を殺す羽目になった・・・・・・!あなたがそれほどまでにドラコを愛していたから―――ッ!」
「愛して?」
 さも馬鹿にしたかのように、ナルシッサは反復した。滑稽だとでも言うように。
「私は自分とダーク・ロード以外を愛したことは、一度もないわ。」
 白く細い指が、優雅な動きで杖を操り、ハリーへ照準を定めた。

「ダーク・ロードが息子にダンブルドアを葬るという仕事を与えてくださったとき、私には到底無
理なことだと分かっていたわ。私の息子は愚かにもハリー・ポッター、あなたに誑かされ、ダー
ク・ロードのお傍に侍ることを躊躇したくらいですもの。ダンブルドアを葬り去るなどこの子には
最初から不可能だったはずよ。
けれど私はダーク・ロードのお望みを叶えて差し上げたかった。だからセブルスに『誓い』を行
わせ、彼が確実にダンブルドアの息の根を止めるように仕向けただけのことよ。
あの男はとんだ食わせ者で、私にもあの時点ではどちらについているのか判断が付かなかっ
た。けれどあの男は私がダーク・ロードよりもドラコを愛していると、好都合にも勘違いしてい
た。そしてセブルスは・・・・・・」

 ナルシッサはいったん言葉を切り、にっこり、と微笑んだ。
 それは恐ろしいほどに美しい笑みだった。

「私を愛していた。」

 ハリーは吸い込まれそうに青い瞳を見つめながら、その言葉を反芻した。
 スネイプはナルシッサを―――愛していた。

「彼は真面目だったわ。人妻に、それも自分の友人の妻に、自分の生徒の母親を愛してしまっ
たことで、自己嫌悪を繰り返していた。そんな引け目もあったからでしょうね。あっさりと『誓い』
を引き受けたのは。」
 ナルシッサがすぅっと瞳を細めた。
「愛は強味にも弱味にもなるわ。ハリー・ポッター、分かっているでしょう?あなたの最大の弱点
は私の『可愛い』息子。だから私は今日まで彼を生かしておいたのよ。」
 ダーク・ロードに心を捧げないまま―――
「でも、それも今日でおしまい。」

 再び、緑の光が視界を遮った。
 光の剣は鋭く、ハリーの額の傷を刺した。



「おやすみなさい、ハリー・ポッター。」



 ヴォルデモート卿のもっとも忠実なるしもべの声が、暗い空間に飲み込まれていった。














ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい・・・・・・・・・!!!!!